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大山哲と本。

大山哲。本が大好きです。オススメの本や読みやすい本を紹介していきます。

大山哲のこの一冊!それから

男性作家

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それから:Amazon

 

こんにちは。

大山哲が選ぶ今日の一冊はそれからです。

 

それから、は誰もが知っていると言っても過言ではない、夏目漱石が書いた本です。

 

主人公の長井代助は30歳になっても定職にもつかない、今で言うニートをしていました。毎月の生活費は父が住む家に貰いに行くという何とも情けない生活をしていますが、きちんと家を持ち書生の門野と祖母を一緒に住まわせています。代助を心配する父親や兄嫁は、何度も見合いの話を持ってきますが、代助は一向に結婚しようとしません。

代助には中学からの親友、平岡常次郎という人物がいて、常次郎は大学を出てすぐに三千代と結婚をしています。常次郎と三千代の間には子供が生まれますが、すぐに死んでしまいます。実は常次郎を三千代を結びつけたのは、代助だったのです。

余りにも結婚を拒み続ける代助に、兄嫁の梅子は、誰か好きな人でもいるのかと尋ねます。その時代助の頭には、三千代の顔が浮かぶという、ちょっとハラハラドキドキの部分もあります。結論から言うと、この本は代助が親友の妻・三千代を好きになってしまい、三千代と一生を共にする覚悟をするまでを描いています。

 

夏目漱石の小説は、それほど人気があるというわけでもなく、好きな人は読むけど、興味がない人は読まずに一生終えるかもしれないくらいの存在ではないでしょうか。何故大山哲がそれからを読もうと思ったのか、それはテレビドラマに理由があります。

 

以前剛力彩芽主演のドラマで、古本屋を舞台にしたのがありました。古本屋の女主人を剛力彩芽が演じていたのですが、話の中に「それから」が関係しているのです。ドラマと原作では若干の違いはありましたが、ドラマに出てくるEXILEAKIRA演じる大輔は、代助から来ていると言われています。

 

改めて読んでみて、大山哲が思ったのは、古い本もなかなか面白いという事です。時代背景が全く違うから、新鮮に感じるところも多く、何よりこの時代にもニートがいたというのが衝撃的でした。普通は働いて収入を得ないと生活できませんが、代助の家は資産家だった事もあって、働かずに親にお金をもらい、自由に生活するというのが可能だったのです。

これだけを見るととんでもないロクデナシに思えますが、実は代助がこうなったのにはりゆうがあります。数年前に起きたある事がきっかけで、代助をニートにしてしまったのです。これも本を読めばわかりますので、興味がある方は是非それからを読んでみてください。

大山哲のこの一冊!星篭の海

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星篭の海:Amazon

 

こんにちは。

大山哲が選ぶ今日の一冊は星篭の海です。

 

著者は島田荘司です。探偵の御手洗シリーズの人気作としても注目していました。

星篭の海は、広島県福山市を舞台にしており、ストーリーは、瀬戸内のとある島に次々と死体が流れ着くというところから始まります。主人公となる御手洗探偵は、IQ300以上という天才脳学者という一面を持っており、相棒の石岡とともに難事件を解決しているのが見どころです。

死体が流れ着くという島で宿をしている老人は、このままでは変な噂が広がり、宿に客が来なくなる事を不安に思い、御手洗探偵事務所に依頼の手紙を出したのです。流れ着く死体は住民や観光客ではなく、なぜか全員男性で、裸のままだといいます。

 

少し話は前後しますが、本のタイトルにもある「星篭」は、対黒船用兵器の事です。江戸時代最強と恐れられ、織田信長も恨んでいたという、「村上水軍」がストーリーに絡んできます。御手洗探偵と石岡は、調査を進めていくと、さらなる事件が起こります。

カルト教団死体遺棄事件、謎に包まれた乳児誘拐、誘拐された子供の両親の惨禍と、一見それぞれが違う事件に思えるものの、実はこれらの事件が最終的に全て繋がっていきます。

 

大山哲は、以前にも御手洗シリーズを読んでおり、星篭の海を読むのを楽しみにしていました。実は星篭の海は、本の帯に「国内最終章」と書いてあります。実は以前のシリーズでも、「最後の一球事件」というのがあり、これが国内最後だと思われていましたが、星篭の海は、1993年夏の終わりで、最後の一球事件は1993年の5月ですから、時系列としては、星篭の海が最後というのも頷けます。実は探偵御手洗は、星篭の海を解決した後、海外に渡るのです。もちろんシリーズをずっと読んできた人には、御手洗と石岡のコンビネーションも楽しめますが、シリーズを知らない人でも十分楽しめる構成となっています。

 

大山哲はシリーズのファンでもあるため、過去の事件などを思い出しながら読んでいましたが、星篭の海についてはかなりの超大作です。もちろん過去の事もたくさん出てきますが、日本だけでなく、世界を舞台にしているところは読み応えがあります。

ストーリーの中では、ただ事件を推理して解いていくだけでなく、星篭の海の舞台となる、瀬戸内の歴史にも触れています。単なる小説ではなく、歴史が学べるところも魅力です。

 

ちなみに御手洗シリーズは、玉木宏さん主演でドラマ化されています。星篭の海は玉木宏さん主演で映画化が決定しているそうです。

大山哲のこの一冊!流

男性作家

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流:Amazon

 

こんにちは。

大山哲が選ぶ今日の一冊は流です。

 

著者は、東山彰良です。第153回直木賞ノミネート作品という事でも話題になりました。1970年代の台湾を舞台にストーリーが展開されていきます。著者の東山彰良は台湾生まれの日本育ちだそうです。

 

主人公の葉秋生には、葉尊麟という祖父がいます。家族には厳しい祖父でしたが、なぜか主人公だけには優しく、主人公は祖父をとても愛し尊敬していました。しかしその祖父は何者かに殺害されてしまいます。実は祖父には大戦中に匪賊として、多くの村人を惨殺していたという過去があります。祖父が生きている時も、家族は皆祖父を悪く言っていました。それでも主人公は大好きだった祖父を殺した犯人を捜す事を選びそのために、波乱万丈の人生を送る事になります。

その途中には、主人公が身代わり受験をして逮捕されるというアクシデントがあったり、いつの間にか不良になっていたりします。喧嘩で生傷が絶えない中、いつしか鉄の定規を削り作った刀を持ち歩くようになります。喧嘩がエスカレートして収拾がつかなくなった時、主人公自らが定規の刀を大腿に叩きつけるというショッキングなシーンも登場します。この他にもカーチェイスや幽霊など、いろいろなシチュエーションがあるから、最後まで飽きずに読む事ができました。

 

紆余曲折ありながらも、充実した青春時代を過ごした主人公は、祖父の遺品から1枚の家族写真を見つけ、それをきっかけにルーツを探るために日本にいきます。

こうして紹介していると、なんだかとても壮大なスケールで、小難しい話に聞こえるかもしれませんが、大山哲としてはとても読みやすく、起承転結もハッキリとしていて、最後まで楽しく読めたところが気に入っています。

青春物のようで、大河作品のようで、推理やミステリーなども織り交ぜながら、ファンタジーな部分もある、読者を飽きさせない作品です。その一方で台湾を舞台にしている事から、少し重いイメージもありますが、読んでみるとそれほど重々しさはなく、幅広い世代の人が読める本だと思います。

その証拠に第153回の直木賞作品となっています。あえてジャンル分けするなら、かなりの大作となりますが、読みやすいし読んだ後も心に残るシーンやセリフが多い見事な作品です。

 

秋は読書にいい季節といいますが、流は秋にゆっくり読むのにおすすめの一冊です。ちなみに大山哲は、この本を読んでみて、いつか機会があったら自分のルーツを探ってみたいと思うようになりました。

大山哲のこの一冊!カラフル

女性作家

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カラフル:Amazon

 

こんにちは。

大山哲が選ぶ今日の一冊はカラフルです。

 

著者は森絵都です。この本の主人公が中学3年生という事もあって、同世代の人におすすめしたい一冊でもあります。

 

ストーリーは自殺をしてしまった主人公の「ぼく」が、死後出会った天使に抽選に当たってもう1度人生をやり直すチャンスを与えられるところから始まります。自殺は罪となり、輪廻転生からは外されるのですが、チャンスを生かす事ができれば、輪廻転生が可能になると言われます。しかしただ運が良く生き返るというのではなく、決められた期間内に自分が犯した過ちに気づかなければいけない、という条件が課せられます。

ただ何もなく生き返られるのではないところに、面白みを感じました。ぼくは、もう1度チャンスをもらいますが、生き返って見ると、小林真という少年に乗り移っていました。しかし皮肉にもこの小林真も自殺を考えていたのです。

小林真は美術部所属のあまり目立たない少年で、成績もあまりよくないし、背が低い事がコンプレックスでした。でも中身はぼくですから、戸惑いながらも周囲となんとかやっていく日々を過ごします。次第に周囲にも受け入れられますが、中身がぼくだという事を知る人はいない、この優しさは小林真に向けられているのだと葛藤したり、進路を決めた時にも人の進路を勝手に決めてしまったという、罪悪感を抱えたりするところが興味深かったです。

 

カラフルを読んでみて、大山哲が思った事は、中学3年生という多感な時期は、皆がいろいろな思いや悩み、不安を抱えていて、それは自分だけだと思い込んでしまうけど、実は皆も同じだという事に気づかされるところです。悩んでいる自分を異常だと思う事もあるけど、実はそれが普通で、皆も同じだという事に気づく事ができれば、主人公のぼくも自殺をせずに済んだかもしれません。

自殺という重いテーマが絡んでいるけど、ストーリー自体はそれほど重々しくなく、気軽に読めます。読み終わったあとにほっこりする、そんな一冊です。

 

実は登場人物の中に1人だけ、小林真の中身がぼくだという事に気づく女の子がいます。なぜ気づいたかはラストで明らかにされますが、ここがカラフルの最大の見せ場のようにも思えました。序盤でオチがわかる部分もありますが、ラストに抱く何とも言えないほっこり感を味わえます。

主人公の「ぼく」も、小林真も中学3年生という事もあって、児童小説というイメージですが、小学生の人にも、もっと上の年齢の人にもよんでい頂きたいと思えるそんな一冊です。

大山哲のこの一冊!王とサーカス

男性作家

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王とサーカス:Amazon

 

こんにちは。

大山哲が選ぶ今日の一冊は王とサーカスです。

 

著者は人気作家の米澤穂信です。ネパールで実際にあった事件をテーマにしています。物語は2001年のネパールを舞台にしています。

主人公は大刀洗万智という、フリー記者を務める女性で、長年勤めた新聞社を辞めフリーになったばかりの時に、雑誌社から受けた依頼でネパールの首都カトマンズに行くところから始まります。

カトマンズではバザールという市場が開かれていて、ところどころで祈りを捧げる人の姿も見られる賑やかな場所です。大刀洗万智は現地で知り合ったサガルという少年にガイドを依頼しますが、取材を始める前に、皇太子が王族8人を殺すという大事件が起こります。ちなみにこの事件は、ナラヤンヒティ王宮で実際に起きている事件です。

大山哲としては、実際に起きた事件をテーマにしているところが興味深いと感じました。

 

大刀洗万智にとっては、当初の取材とは全く違う事件ですが、記者魂に火がつき事件を取材しようとします。しかし場所が場所だけに、全く知らない土地で取材をするには余りにもミステリアスすぎて躊躇します。しかし新聞記者をしていたというプライドが、取材への意欲を取り戻します。危険が伴うと覚悟しながら取材を進めると、死体が発見され、背中に密告者という意味の言葉が書かれているのを知ります。

舞台はカトマンズですが、登場人物は少なく、ミステリー小説が好きな人には読みやすいと思います。ストーリーの後半には、大刀洗万智が記者というより、探偵さながらの推理とひらめきで事件の謎を解いていくところがまた面白く夢中になってしまいました。しかし最後にはきちんと記者として行動していきます。

 

一見単なる実話をもとにしたミステリアスさをアピールしている作品のように思えますが、実際にはジャーナリズムについて深く掘り下げ、それを小説にしています。本の中にはカメラの事や、ジャーナリズム、ジャーナリストについての事が度々登場します。あまり詳しく知らない人でも、抵抗なく読みすすめていけますが、カメラやジャーナリズムに詳しい人は、違った角度からストーリーを楽しめると思います。

 

ストーリーに関しては賛否両論あると思いますが、このボリュームを大山哲は一気読みしてしまいました。ジャーナリズムに精通しているわけではないけど、とても面白く夢中にさせてくれる一冊でした。まだ読んでいない方は是非読んでみていただければと思います。

大山哲のこの一冊!無伴奏

女性作家

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無伴奏:Amazon

 

こんにちは。

大山哲が選ぶ今日の一冊は無伴奏です。

 

著者は小池真理子です。成海璃子池松壮亮主演で映画化された事もあり話題になりました。ストーリーは1960年代の仙台を舞台にしており、学生紛争や学生デモ、フォーク反戦集会などがテーマになっています。

杜の都と呼ばれる仙台の喫茶店で主人公の高校生・響子と、大学生の渉は出会います。少し不良っぽい響子と、真面目で皆に愛される渉はお互い恋に落ちます。渉の親友関裕之助は響子と渉を見守りますが、どこかで響子に惹かれ三角関係になってしまいます。これがきっかけで事件が起こり、20年後もその影響を受ける事になる、というのが無伴奏のあらすじです。

 

著者の小池真理子は、直木賞や島清恋愛文学賞を受賞した作家という事もあり、大山哲もこの一冊を楽しみにしていました。著者の体験を元にした「半自叙伝的小説」というところも興味深かったです。実際小説の終わりに、「あのころを共に過ごした友人のM.I、そしてあのころの作者を知っているすべての人々に本書を捧げる」とこう書いているのも説得力がありました。

作品の中では、女性が一人称で事件を伝えていくという設定です。恋という部分では、誰もが経験する甘く切ないような感情が見事に描かれています。しかし渉と裕之助は禁断の関係という衝撃的な内容も盛り込まれています。物語にも登場する無伴奏は、実在するバロック音楽をかける喫茶店で、この時代に大学生だった人は、懐かしさも覚える人も多いようです。

 

響子と渉が出会いお互いに惹かれていくところまでは、とても微笑ましいのですが、その後には予想もできないような展開が待っています。響子と渉、裕之助にはエマという彼女がいて、2組のカップルには思いもよらぬ結末が待ち受けています。

大山哲としては、切ない恋心を描く描写も感心しましたが、渉の繊細さはとてもよく描かれていたと思います。

携帯のパソコンも当たり前ではない時代ですから、今の学生とは生活スタイルや考え方もまるで違います。今でも親のすねかじりはいますが、当時を知る人には懐かしさが、全く知らない世代でもある意味新鮮さと斬新さを感じられる一冊になっていると思います。

 

小説だけど半分フィクションで、半分ノンフィクションというところに注目しながら読んでみるのも面白いと思います。ただし読み終わった後には、何とも言えない後味の悪さというか、エマが余りにもかわいそうという思いが拭いきれませんでした。

大山哲のこの一冊!夢をかなえるゾウ

男性作家

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夢をかなえるゾウ:Amazon

 

こんにちは。

大山哲が選ぶ今日の一冊は夢をかなえるゾウです。

 

ジャンルは自己啓発本ですが、ドラマ化やアニメ化されている事もあって、人気がある小説です。著者は水野敬也で、第2弾の夢をかなえるゾウガネーシャと、第3弾の夢をかなえるゾウブラックガネーシャはいずれも大ベストセラーとなっています。

 

主人公はごく普通のサラリーマンです。夢があるのにそれを叶える事は到底無理、と諦めているサラリーマン達に勇気を与えたいという、著者のメッセージが込められた一冊となっています。

主人公は自己啓発本を読んだり、自分を変えようと努力したりするものの、結局長続きせず全て中途半端という人物です。何をやってもダメな主人公は何を思ったか、突然インドに旅立ちます。帰国後会社の顔を知っている程度の会社の先輩が主催するパーティーに誘われます。そのパーティーは主人公とは別世界の、セレブや有名人が集まるパーティーでした。自分とは違う世界の人にすっかり気が引けてしまい、完全にいじけてしまいます。

やけ酒を飲み帰宅した主人公は、インドで買った象の神様の置物に、「自分も変わって成功したい」と泣き言をいいそのまま寝てしまいます。翌朝目が覚めるとガネーシャが目の前に現れて、変わりたいなら課題をクリアするよう求めてきます。

大山哲も自己啓発本を読んだ事はありますが、この本では主人公とガネーシャの行動から自然と自己啓発が学べるという、比較的読みやすい本だと思います。

 

一瞬ドラえもんみたいだと思える部分もありますが、ガネーシャはただ願いを叶えるのではなく、変わりたいなら課題をクリアしなさいという条件を出します。結果として散々苦労しながらではありますが、課題をクリアしながら、主人公は変わっていくのです。ガネーシャの課題のおかげで主人公が変わっていく姿は、感動する部分も多いです。

 

大山哲が面白いと思ったのは、ガネーシャのキャラクターです。体は人間で象の鼻を持ち、腕は4本あります。一応神様だから、ビックバンを見た事があったり、お釈迦様と仲が良かったりします。でも目玉焼きにはベーコンが必須なところや、ヘビースモーカーで禁煙に失敗している過去があるなど、ツッコミどころ満載の面白い神様には、好感が持てます。

ガネーシャが出す課題は意外と簡単なようで難しい物ばかりです。課題には様々なエピソードがあって、課題とエピソードを照らし合わせながら読むのも面白いと思います。

大山哲のこの一冊!残穢

女性作家

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残穢:Amazon

 

こんにちは。

大山哲が選ぶ今日の一冊は残穢です。

 

残穢は、小野不由美が書いた、日本のホラー小説です。

京都で暮らす主人公は女性の「小説家」です。本来のジャンルは大人向け小説ですが、少女向けのホラー小説を執筆する事もあります。

ホラー小説の後書きに、読者の怖い話体験談の募集を呼びかける事もあり、それがきっかけとなり、時々読者から怖い体験の相談をされる事もあるという背景があります。

 

ストーリーは、かつて主人公の著書の読者だった30代女性久保から、1通の手紙が届くことから始まります。手紙の内容は、久保が霊体験をしている事についてなのですが、久保と同じマンションに住む屋嶋という人物も、以前主人公に向けて同じような霊体験をしているという手紙を出していました。

同じマンションに住む住人が、部屋が違うのに同じような霊体験をしているといいうところに、自身がホラー小説を書いているという事もあり、主人公の私は、ホラー絡みと好奇心から調査に乗り出すのです。

 

残穢の中にはいたるところに、ホラーが盛り込まれていて、大山哲も読み進めながら何度もハラハラドキドキしてしまいました。読み終えた後は、後ろに誰かいるのでないか、夜部屋の電気を消してから何か音が聞こえてきそうで、読まなければ良かったと少し後悔してしまうほどの臨場感ある作品でした。

ストーリーは、マンション自体ではなくその場所と過去に秘密が隠されているのですが、本の中の事なのに、自分にも同じことが起きたらどうしようとか、読み終えた本を見ているだけでも臨場感を思い出し、思わずゾクソクっとしてしまうほどの迫力ある一冊でした。

ホラー小説なのに、本当に起こった事のように思えてしまうのが不思議でした。ストーリーの中では、調査の過程で、バブル期や高度経済成長期なども登場しますが、さらに遡り戦後や戦前まで複雑に絡み合うところも見どころです。

 

大山哲は今までにたくさんの本を読んできましたが、読み進めながら節目節目で明らかになる驚愕の事実や、調査中にも起こる数々の怪奇現象などは、思わず身を仰け反らしてしまうほどでした。読み終わってからの率直な感想は、とにかく怖いの一言ですが、十分読み応えのある一冊という事だけは間違いないでしょう。

 

ホラー小説好きの方はもちろん、そうでない方も是非読んでみてはいかがでしょうか。真夜中ではちょっと怖いかもしれないので、昼間の明るい時に読むのがおすすめです。

大山哲のこの一冊!蛇にピアス

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蛇にピアス:Amazon

 

こんにちは。

大山哲が選ぶ今日の一冊は蛇にピアスです。

 

著者は金原ひとみです。金原ひとみのデビュー作にして、刺青、セックス、DV、そしてタイトルにもなっているピアスをデリケートゾーンにも入れているという衝撃的な内容が話題となった作品です。

 

過激な内容が話題になっただけでなく、第27回すばる文学賞受賞、第130回芥川賞を受賞している事からもわかるように、実力が認められている作家の作品という事もあって、大山哲はとても読みたかった一冊です。

 

登場人物は舌に二股の切れ目を入れるスプリットタンなど、身体改造に興味がある「ルイ」。ルイと同棲中で、既にスプリットタンをしていて、顔中にピアスや、派手な刺青をするなど、身体改造においてはルイよりも進んでいる「アマ」。身体改造店のオーナー「シバさん」は、スプリットタンはしていないが、ピアスの量は誰よりも多く、見た目もかなり激しい人で、本名は柴田キヅキです。

 

ストーリーは、ルイを中心に展開されていきます。「スプリットタンって知ってる」と自分の舌を見せたアマに、ルイは惹かれていき交際します。人体改造に興味を持っているルイは、身体改造店のオーナーであるシバとも関係を持ってしまいます。

リアルの世界にこういう人物がいたら、大山哲は正直敬遠してしまうかもしれませんが、ここは本の中の世界だから、冷静に読み進む事が出来ました。そういえば少し前にCSの海外ドラマで人体改造をテーマにしたストーリーがありました。海外の場合はピアスや刺青だけでなく、頭に角を付けたり耳を尖らせたりするなど、かなり過激な人体改造をしています。これに比べるとまだ可愛い気もしますが、日本では十分過激な部類です。

 

この話にはSMという部分も登場します。本の中にはかなり過激な性描写も登場しますので、好みが大きく分かれるかもしれません。ルイは元々人体改造に興味を持っていたので、スプリットタンも抵抗なくやってしまいます。その後は刺青にハマっていきます。

よく刺青を1つ入れると、次から次に入れたくなると言いますが、こういう人は潜在的に、人体改造にも興味があるのかもしれません。ストーリー的にはかなりヘビーで重いイメージですが、純粋に本として読む分にはとても読み応えがあり面白いストーリーだと思います。

 

好みが大きく分かれるため、賛否両論はありますが、話題作としては十分読む価値がある一冊だと思います。個人的にはアマが殺されてしまうのが残念でした。

大山哲の今日の一冊!オーデュボンの祈り

男性作家

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オーデュボンの祈り:Amazon

こんにちは。

大山哲が選ぶ今日の一冊はオーデュボンの祈りです。

 

同作品は作者の伊坂広太郎氏のデビュー作で、果たしてどのジャンルに属するのか、簡単な判断が難しい、独自の世界観で物語が綴られています。
大山哲流にご紹介すれば「伊坂ファンタジーとミステリーの世界」となりますが、ご一読された皆さんは果たしてどう感じられるのか、興味深いところです。

 

主人公の伊藤は企てたコンビニ強盗に失敗し逃走中で、見知らぬ島に逃げ着きます。
そこは江戸時代以来今日まで、完全に外界とは全てが遮断され続けている「荻島」で、島民は全て妙な人達ばかりです。
日本の法律を無視した島の法律で殺人を許された人物が居たり、人の言葉を操り未来が分かる案山子が立っているなど、まさに亜空間で、伊藤は戸惑うばかり。
そして伊藤が到着した翌日、未来が見えるはずの案山子が無残にもバラバラ状態で殺され、何故か頭だけ持ち去られてしまいます。

 

物語は逃亡者の伊藤が次々と不思議な島民と出会い、彼等と交わす会話を軸に描かれて行きます。時系列にそって淡々とストーリーが進んで行きますが、伊坂氏ならではの言葉の操り方で、それぞれの場面の情景が鮮明に見えて来ますので、読み進めて行くのに疲れを感じません。


基本的には非日常的なノンフィクションの世界ですが、謎解きが絶妙のバランスでブレンドされていて、程良く頭を使わせてくれる作品です。

これがデビュー作なのかと評判になったのも納得です。ラストシーンに向かう流れは、特にどんでん返しが待っている訳でも無く、ある意味納得のエンディングですが、スッキリ爽快感を覚えると同時に、大きな学びもプレゼントされました。


未来が分かっていればもっと出世して、もっとお金持ちになって、もっと自分の意のままの人生が歩めると思いがちな大山哲ですが、果たしてそれが本当に幸せで正しい事なのか、自問自答の機会を与えられました。犯罪者になってはなりませんが、ぜひ皆さんも伊藤の立ち位置から、この不思議な世界での出来事と対峙される事をオススメします。
こうしたミステリー色を含む作品は、1度結末が分かってしまうと、次に手が伸びにくい傾向が見られますが、肩肘張らずに何度でも読み返し、その都度楽しめる1冊だとご紹介出来ます。


またご自身で文章を綴るのがお好きな方、あるいはこうした作業をお仕事とされている方々にとっては、伊坂氏ならではの表現や言葉のチョイスが、大きなヒントやお手本になるに違いありません。