大山哲と本。

大山哲。本が大好きです。オススメの本や読みやすい本を紹介していきます。

大山哲のこの一冊!イニシエ-ション・ラブ

こんにちは。

大山哲が選ぶ今日の一冊はイニシエ-ション・ラブです。


乾くるみ著書の作品で、作者の代表作と同時に、問題作であるとも言える小説となっています。

その理由は、ジャンル分けが難しいことで、内容だけを見ると恋愛小説といっても良いのですが、ある「仕掛け」が施されていて、ミステリージャンルだという人もいて、出版された時にはかなり話題になったものです。


内容から映像化不可能と言われていたのですが、映画化された時も、かなりの話題になりました。


イニシエーション・ラブとは、タイトルをそのまま日本語に訳すと「恋愛の通過儀礼」といったもので、ストーリーそのものは男女の恋愛模様といって間違いではありません。

ただ、問題となってくるのは書き方、作中に隠された「仕掛け」であって、これが純粋な恋愛小説とは言えなくしています。

それは、第58回日本推理作家協会賞長編及び連作短編集部門候補作になっていること、さらに、2005年の本格ミステリ・ベスト10で第6位にランクインしていることからも分かるでしょう。


ストーリーはある男女の出会いから恋に落ちていく過程を描いたもので、中々きわどいシーンも存在しています。

特徴は書き方にあって、これが一つの「仕掛け」になっているのですが、詳しく説明すると書見の感動が薄れますので、実際に手にとってお読みください。

物語はsideーAとsideーBに分かれていて、各章のタイトルは、それぞれの内容を象徴する曲名が付けられているので、曲を聞きながら読むのも面白いかもしれません。80年代がリアルに描かれていて、その時代に青春を送っていた人なら共感や懐かしさを感じるでしょう。


売り上げは130万部を超える大ベストセラーで、「読み終わった後にもう一度読み返したくなる」がキャッチコピーになっていて、実際に「仕掛け」があると知りながらも、最後まで気付かない人も多いです。

ただ、それだけではなく、男女の微妙な気持ちの擦れ違い、純情さや強かさがリアルに伝わってくるので、恋愛小説としても面白い作品です。


著者である乾くるみは、自作をタロットカードをモチーフにしたシリーズにして、イニシエーション・ラブは6番目の「恋人」となっています。

このことを知って読むと別の側面も分かりますので、他の作品も合わせてチェックしてみると新たな発見が生まれるかもしれません。

 

とにかく一度読んでみること、すべてはそれからです。