大山哲と本。

大山哲。本が大好きです。オススメの本や読みやすい本を紹介していきます。

大山哲のこの一冊!ソロモンの偽証

こんにちは。大山哲が選ぶ今日の一冊はソロモンの偽証です。


私が読んだ中でも衝撃的な作品の一つに挙げられます。


ある中学校で発生した転落死の謎を校内裁判で追求しようとする生徒たちの姿を描いています。

1部の事件、2部の決意、3部の法廷の3部作で構成されており、2015年3~4月には前編と後編に分けて映画化されています。


映画作品は見ていないのですが、なかなか評判が高いようです。


事件は、雪の降るホワイトクリスマスの早朝、転落死した14歳の男子中学生(柏木)が発見されることから始まります。1部は登場人物やその家族、学校や地域などの関係性や謎の告発状、殺到するマスコミ、そして新たに発生する事件を描いています。
2部は、中学生の視点で描きます。責任回避のために汲々となり、対処能力を失う教師や大人たちを横目に、ある女生徒の提案をきっかけに有志数人が立ち上がり、生徒たちが自ら証人を探し出そうとするのです。


走りだそうとする生徒と押しとどめようとする教師の対立、そんな中、他校から中学生らしからぬ能力を秘めた弁護人が名を挙げるのでした。
3部は、そんな中学生はいないと感じさせるほどの中学生検事と中学生弁護人が活躍します。


被告人の悪事を糾弾し「未必の故意」など、専門用語がたくさんでてくるので、スマホ片手に検索したほどです。


スーパー中学生の検事と弁護人が繰り出す法廷闘争、そして陪審員がある人物に対して持つ不信感、最後の証人とは一体誰なのか、それらの線が全てつながる時、事件の全貌が見えてくるのです。


全3部作で2200ページ、1部あたり700ページを超えますが、次々とページを進めたくなる気持ちに圧倒されました。


若さ溢れる行動力を持つ登場人物たちのように、私にもこんな時期があったのかなと思いにふけることもありました。
特に検事と弁護人の中学生は、極めて高い博識と理路整然とした言動の他、表情や目の動きなどで感情を読むという能力まで備えています。


思わず、「そんな中学生いるかよ」と突っ込むこともありましたが、突き抜けた追求能力や弁護能力を見せられ続けると違和感もなくなりました。


一気に読みふけった休日明けの出勤日、登校する中学生と思しき生徒らを見かけ、私の中学生時代を思い出し懐かしい気持ちに浸りました。


若いころの、無鉄砲にも似た行動力ならありえるかなと思わせる作品ですので、一度試してみてはいかがでしょうか。

グイグイ引き込まれること確実です。