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大山哲と本。

大山哲。本が大好きです。オススメの本や読みやすい本を紹介していきます。

大山哲のこの一冊!悼む人

こんにちは。大山哲が選ぶ今日の一冊は悼む人です。


悼む人の作者は「家族狩り」や「永遠の仔」も執筆した天童荒太です。

本作は、2006年10月号から2008年9月号まで「オール讀物」に連載された後、加筆修正を経て、2008年11月に文藝春秋社より、単行本が刊行されました。第140回直木賞受賞作でもあります。


この作品は、2012年、大森寿美男の脚本・堤幸彦の演出で舞台化されました。それに続き2015年2月には、舞台版と同じく大森寿美男が脚本・堤幸彦の監督で映画版も公開されました。


悼む人は、事故や事件に巻き込まれて亡くなった人々を現場で「悼む」ために全国を放浪している、坂築静人という若者と、彼を取り巻く人々を巡る物語です。主人公には、末期癌を患う母親、対人恐怖症というハンデを抱える父親、別れた交際相手の子を妊娠している妹、というかなり訳ありの家族がいます。

エログロ・男女の痴情事件・残忍な殺人を得意とする雑誌記者は、主人公の行動に疑問を持ち、彼の身辺を調べ始めます。

そして主人公と行動を共にすることになる女性には夫殺しの過去があり、しかもその亡き夫の霊は彼女に取りついて、彼女に向かって語りかけてきます。
主要な登場人物のキャラクターをピックアップしていくだけで、彼等・彼女等の一癖もふた癖もある境遇と死生観が交錯し、重苦しく不思議な気分になっていきます。

主人公が神格化されることはありません。主人公の母親の死というひとつのクライマックスに向かって、小説は進んでいきます。
悼む人の関連作品として、本作の主人公・静人が書いた日記という体裁を取った、静人日記:悼む人IIも発表されています。

これは、本作を書くにあたって、作者の天童新太氏が、静人の気持ちに成りきるために、執筆に先立って書き始めた悼む人の序章ともいうべき作品です。