大山哲と本。

大山哲。本が大好きです。オススメの本や読みやすい本を紹介していきます。

大山哲のこの一冊!置かれた場所で咲きなさい

こんにちは。大山哲が選ぶ今日の一冊は置かれた場所で咲きなさいです。
渡辺和子氏の大ベストセラーになったエッセー集です。


著者がキリスト教カトリック)の修道女という信仰者である、ということ、そして所属する修道会の指示とはいえ、縁もゆかりもない岡山という土地において、若くして大学の学長という責任ある立場に突然「置かれた」経験の持ち主である、というふたつの点を抜きにしては、この本を評価することはできないでしょう。

この薄い本には、彼女の特殊な経験とカトリックの信仰に裏打ちされた言葉がぎっしりと詰まっています。
そんな渡辺氏の、置かれた場所で咲きなさいという著書が、修道会はおろかカトリックキリスト教にも縁がない、いや宗教一般に縁が薄いことが誇りとなりかねない、現代の平均的日本人の心の琴線に触れて、たくさんの人に読まれるベストセラーとなったのは、何故でしょうか。


大抵の人は、人生の励みになる美しい言葉が詰まった本として素直に読んで、感激したり共感したりしたのかもしれません。

渡辺氏を宗教者としてではなく、豊富な人生経験を持ったひとりの女性であると、みなしているのかもしれません。

あるいは上意下達が当然である修道院という組織は、日本のサラリーマンが生きてきた会社組織と、もしかしたら相通ずるものがあるのかもしれません。
キリスト教の信者が全人口の1%にも満たない現代の日本で、キリスト教の修道女である渡辺氏の言葉が受け入れられて、ベストセラーになったということは、わたしにとって、非常に興味深い現象です。

感情的な反発を取り除くことが出来さえすれば、日本人にとって、キリスト教的な考え方というものにも、案外共感できる部分が大きい、ということではないか、と思わずにはいられません。