大山哲と本。

大山哲。本が大好きです。オススメの本や読みやすい本を紹介していきます。

大山哲のこの一冊!旅のラゴス

こんにちは。大山哲が選ぶ今日の一冊は旅のラゴスです。


旅のラゴスとは、筒井康隆先生が1994年に出版された連作長編。

今尚人気を集めているこの小説は、学者のラゴスという男が各地を転々とし旅をする物語です。

大山哲がおすすめするポイントその1は、魅力的な世界観。


ラゴスが旅する世界は現代の地球でも、過去の地球でもありません。高度さゆえに文明が瓦解してしまい、突然原始の世界に戻って生きることになった人々が、超能力を開花させた世界なんです。

失われた教養や技術を補うために開花させられたというその能力は、空間転移や感応能力、予知能力などといったもので、当たり前に存在するものとして使われています。
宇宙船の残骸が登場しますが、それが古代の遺跡のように描かれているのも、この世界観ならでは。

出没する大蛇から大きな鳥の卵を守るため、道に卵が埋められた町というのも、独創的で面白いです。

大山哲がおすすめするポイントその2は、虚構であるはずの物語に、リアリティを感じるところです。
物語は作りものであって、世界だって作家の都合のいいように作られていると思ってしまうものです。が、ラゴスの出会いが出会いを呼ぶこと、別れが次の道を示すこと、それがまさに旅そのものであり、フィクションなのにノンフィクションであると錯覚してしまうほどのリアリティを加えています。

さらに、超能力のしくみや感覚が現実的に書かれているのもその理由。

たとえば、壁を抜ける能力は、壁を構成する原子の隙間を人間の原子が通り抜けるというしくみになっていて、壁の向こうに心底欲しいものがあるという想像を高めるという感覚で行うというものだと書かれています。

本当に、自分も壁抜けができそうな気になってきます。

世界観とリアリティに魅了された大山哲は、読んだあとにに壁抜けを試みました。