大山哲のこの一冊!ぼくは明日、昨日のきみとデートする
こんにちは。大山哲が選ぶ今日の一冊はぼくは明日、昨日のきみとデートするです。
このお話は京都の美大生が一人の女性に一目惚れしたところから始まります。高嶺の花のようにも見える美しい彼女に、ある日主人公は意を決して声を掛けます。
行動の甲斐あって交際にこぎつける事を成功させるのです。
しかし、気配り上手で寂しがり屋の彼女には想像を絶するような大きな秘密が隠されていたのです。
読み始めは普通の恋愛小説と全くと言っていいほど変わりはありません。
何ならこの小説のデートシーンは幸せで満ち溢れています。二人の愛し合う様には頬が綻ぶ程です。
しかし、彼女の時折見せる寂しげな表情には僅かな引っ掛かりを覚えながら読み進めていくことでしょう。
この小説の大きなポイントは彼女の秘密です。
この秘密を知った時、様々な感情が溢れ出ます。
その後、瞳に溜まった雫が零れるのを止めることが出来なくなりました。
大山哲は運命で結ばれた二人とは彼らの為にある言葉なのだと思います。
自然に運命という言葉を使ってしまいたくなる程に甘く、そして切ない物語がこの一冊に惜しみなく書かれています。
全てを知ったときに大山哲はもう一度最初から読み返したいと思い、欲望のままに続けて読み返してしまいました。
何も知らないままに読む物語と全てを知った後に読む物語で、こんなにも景色が変わるものなのかと驚きがありました。
二度目に読むときはラストを知っていながら胸が痛くなります。
二度と言わず何度でも読みたくなる作品だと言い切ってしまえるような素晴らしい作品でしょう。間違いなく泣ける作品です。