大山哲と本。

大山哲。本が大好きです。オススメの本や読みやすい本を紹介していきます。

大山哲の今日の一冊!白夜行

こんにちは。大山哲が選ぶ今日の一冊は白夜行です。

 

白夜行:アマゾン

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これまで作者の東野圭吾さんの作品は数多く読んで来ており、それなりの通を自認している私大山哲が「これぞ東野圭吾の世界」とご紹介したい一冊です。

物語は大阪府近鉄布施駅前の廃墟ビルから幕を開けます。
勿論近鉄布施駅は実在の駅であり、近隣に暮らす方々であれば、近鉄大阪線奈良線が上下二層に走る高架駅とその周辺の街並みの風景が鮮明に思い浮かぶ事でしょう。
この風景の中の廃墟ビルは勿論架空の建物ですが、こうした舞台設定が物語に臨場感と信憑性を持たせ、まるで複雑難解な実際の難事件とこれから対峙するような感覚にさせてくれるのもまた、作者の作品の大きな特徴であり魅力です。

ここでいきなりのギブアップ宣言ですが、私にはこの作品のあらすじをまとめて語る技量がありません。


登場人物が時系列に沿って遭遇経験する、数々の予期せぬ事件や展開、そして時にフラッシュバックの如く連鎖を見せる、過去の未解決事件と目の前の出来事など、良い意味で「一瞬たりとも気が抜けない」ストーリーが展開されて行きます。

同作品発表後にテレビドラマ化されたらしく、そちらに関する情報や感想もインターネット上で配信されていますが、私はやはりこの物語は、原作を一言一句見逃さずに熟読してこそ、その醍醐味を満喫出来ると捉えています。

それと同時に、この長年に亘る複雑なストーリーを限られたテレビドラマの世界で描く作業にチャレンジされた、番組制作者やキャストの方々には、ただ素直に頭が下がるばかりです。それほどまでに同作品は私にとって「推理小説」なのです。

ライトエッセイ的にサラリと読み流す読書スタイルが心地良い方々にとっては、同作品はもしかすれば「大きなハードル」的に映るかも知れません。
時系列に沿って読み進めた内容を記憶する作業を重ねて行かなければ、途中で物語自体を見失う可能性がゼロとは言えません。
それでもぜひ読破と謎の解明にチャレンジいただきたい、大袈裟でなく無数の推理小説の中でも間違いない傑作だとご紹介出来ます。

対して「最近の推理小説はライト過ぎて物足りない」とお感じの方々であれば、久々にニヤリからの本の世界への没頭をお約束します。
随所に綴られる細やかな情景描写と、登場人物が交わす一言一句が描く、まるで全編ノンフィクションかと錯覚させられる世界観は、推理小説通を自認される方々を満足させてくれるに違いありません。
久々に堪能させてくれた、心地良く手強い推理小説を読破直後の達成感は格別です。