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大山哲と本。

大山哲。本が大好きです。オススメの本や読みやすい本を紹介していきます。

大山哲のこの一冊!無伴奏

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無伴奏:Amazon

 

こんにちは。

大山哲が選ぶ今日の一冊は無伴奏です。

 

著者は小池真理子です。成海璃子池松壮亮主演で映画化された事もあり話題になりました。ストーリーは1960年代の仙台を舞台にしており、学生紛争や学生デモ、フォーク反戦集会などがテーマになっています。

杜の都と呼ばれる仙台の喫茶店で主人公の高校生・響子と、大学生の渉は出会います。少し不良っぽい響子と、真面目で皆に愛される渉はお互い恋に落ちます。渉の親友関裕之助は響子と渉を見守りますが、どこかで響子に惹かれ三角関係になってしまいます。これがきっかけで事件が起こり、20年後もその影響を受ける事になる、というのが無伴奏のあらすじです。

 

著者の小池真理子は、直木賞や島清恋愛文学賞を受賞した作家という事もあり、大山哲もこの一冊を楽しみにしていました。著者の体験を元にした「半自叙伝的小説」というところも興味深かったです。実際小説の終わりに、「あのころを共に過ごした友人のM.I、そしてあのころの作者を知っているすべての人々に本書を捧げる」とこう書いているのも説得力がありました。

作品の中では、女性が一人称で事件を伝えていくという設定です。恋という部分では、誰もが経験する甘く切ないような感情が見事に描かれています。しかし渉と裕之助は禁断の関係という衝撃的な内容も盛り込まれています。物語にも登場する無伴奏は、実在するバロック音楽をかける喫茶店で、この時代に大学生だった人は、懐かしさも覚える人も多いようです。

 

響子と渉が出会いお互いに惹かれていくところまでは、とても微笑ましいのですが、その後には予想もできないような展開が待っています。響子と渉、裕之助にはエマという彼女がいて、2組のカップルには思いもよらぬ結末が待ち受けています。

大山哲としては、切ない恋心を描く描写も感心しましたが、渉の繊細さはとてもよく描かれていたと思います。

携帯のパソコンも当たり前ではない時代ですから、今の学生とは生活スタイルや考え方もまるで違います。今でも親のすねかじりはいますが、当時を知る人には懐かしさが、全く知らない世代でもある意味新鮮さと斬新さを感じられる一冊になっていると思います。

 

小説だけど半分フィクションで、半分ノンフィクションというところに注目しながら読んでみるのも面白いと思います。ただし読み終わった後には、何とも言えない後味の悪さというか、エマが余りにもかわいそうという思いが拭いきれませんでした。