大山哲と本。

大山哲。本が大好きです。オススメの本や読みやすい本を紹介していきます。

大山哲のこの一冊!カラフル

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カラフル:Amazon

 

こんにちは。

大山哲が選ぶ今日の一冊はカラフルです。

 

著者は森絵都です。この本の主人公が中学3年生という事もあって、同世代の人におすすめしたい一冊でもあります。

 

ストーリーは自殺をしてしまった主人公の「ぼく」が、死後出会った天使に抽選に当たってもう1度人生をやり直すチャンスを与えられるところから始まります。自殺は罪となり、輪廻転生からは外されるのですが、チャンスを生かす事ができれば、輪廻転生が可能になると言われます。しかしただ運が良く生き返るというのではなく、決められた期間内に自分が犯した過ちに気づかなければいけない、という条件が課せられます。

ただ何もなく生き返られるのではないところに、面白みを感じました。ぼくは、もう1度チャンスをもらいますが、生き返って見ると、小林真という少年に乗り移っていました。しかし皮肉にもこの小林真も自殺を考えていたのです。

小林真は美術部所属のあまり目立たない少年で、成績もあまりよくないし、背が低い事がコンプレックスでした。でも中身はぼくですから、戸惑いながらも周囲となんとかやっていく日々を過ごします。次第に周囲にも受け入れられますが、中身がぼくだという事を知る人はいない、この優しさは小林真に向けられているのだと葛藤したり、進路を決めた時にも人の進路を勝手に決めてしまったという、罪悪感を抱えたりするところが興味深かったです。

 

カラフルを読んでみて、大山哲が思った事は、中学3年生という多感な時期は、皆がいろいろな思いや悩み、不安を抱えていて、それは自分だけだと思い込んでしまうけど、実は皆も同じだという事に気づかされるところです。悩んでいる自分を異常だと思う事もあるけど、実はそれが普通で、皆も同じだという事に気づく事ができれば、主人公のぼくも自殺をせずに済んだかもしれません。

自殺という重いテーマが絡んでいるけど、ストーリー自体はそれほど重々しくなく、気軽に読めます。読み終わったあとにほっこりする、そんな一冊です。

 

実は登場人物の中に1人だけ、小林真の中身がぼくだという事に気づく女の子がいます。なぜ気づいたかはラストで明らかにされますが、ここがカラフルの最大の見せ場のようにも思えました。序盤でオチがわかる部分もありますが、ラストに抱く何とも言えないほっこり感を味わえます。

主人公の「ぼく」も、小林真も中学3年生という事もあって、児童小説というイメージですが、小学生の人にも、もっと上の年齢の人にもよんでい頂きたいと思えるそんな一冊です。