大山哲のこの一冊!新世界より
こんにちは。大山哲が選ぶ今日の一冊は新世界よりです。
「新世界より」は、貴志祐介によるエンターテインメント小説で、2008年に第29回日本SF大賞を受賞した作品です。
物語の舞台は1000年後の日本、豊かな自然に抱かれた集落です。
主人公をはじめとする純真無垢な少年少女が、呪力という念動力を手に入れた人類の隠された歴史を知り、それによって生じた様々な困難に立ち向かいます。
大山哲が感じたこの物語の魅力は、一見は平穏な世界の端に現れる闇です。楽しい学園生活を送りつつも、少し不可解なことがあり、何だかよくわからないけれど不安が積もっていくというような、ある種の気持ち悪さが特徴的です。
これは、SFでありながらも、ホラーやミステリといった要素を楽しめる一因ではないかと思います。
「新世界より」は、2012年にテレビアニメ化されたように、魅力的な世界を持っています。多様に進化した独特な生き物がその一例です。
作品中に細かく描写されたものはもちろん、そうでないものを想像できるのも、面白いところでしょう。
これらの世界は、ただ作品を彩るためだけにあるのではなく、物語の中心に深く関わってきます。大山哲も、想像をはるかに超える真実に驚き、精緻に作りこまれた世界の壮大な仕掛けに騙されていたことを知りました。
貴志祐介は、この作品について「1000年後の子孫に向けたメッセージであるとともに、1000年前の我々に向けたメッセージでもある」と、コメントしています。
これはつまり、現実の世界と地続きの、未来の世界で起きたことが描かれているということです。
「新世界より」は、読者を巻き込んだ至高のエンターテインメントなのです。