大山哲のこの一冊!夜のピクニック
こんにちは。大山哲が選ぶ今日の一冊は夜のピクニックです。
夜のピクニックは小説家・恩田陸さんの書いた小説で2004年に7月に発売されました。第2回本屋大賞と第26回吉川英治文学新人賞を受賞した作品です。
デビュー作は1992年に発行された6番目の小夜子で、この作品は日本ファンタジーノベル大賞の最終候補に残った作品です。
ファンタジーの賞をきっかけにデビューしているので恩田さんの作品はファンタジー調のものが多いですが、SFやミステリーなど様々なジャンルの作品も執筆しています。
さて肝心の夜のピクニックの内容ですが、これは主人公・甲田貴子が通う高校で行われる伝統行事・歩行祭を中心に描かれる青春物語です。
歩行祭というのは全校生徒が丸1日かけて約80kmを歩き抜くという行事です。
夜のピクニックは基本的に高校生がひたすら歩いているだけの小説です。殺人事件も起きませんし、ファンタジーの世界に迷い込むこともありません。
それでも、この作品は飽きずに読むことが出来ます。
それは、読者を飽きさせない展開の工夫がされているからです。主人公の甲田貴子はある誓いを胸に歩行祭に参加します。
このような小さなイベントが幾つか作中に登場し、かつ伏線を交えながら展開されていくので最後まで飽きずに読めるんです。
そして登場する高校生達の心理描写も秀逸です。ちなみに歩行祭のモデルは恩田陸さんの母校である茨城県立水戸第一高校の歩く会だそうです。
夜のピクニックは2006年に映画化もされています。