大山哲と本。

大山哲。本が大好きです。オススメの本や読みやすい本を紹介していきます。

大山哲の今日の一冊!夜は短し歩けよ乙女

夜は短し歩けよ乙女:Amazon

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こんにちは。

大山哲が選ぶ今日の一冊は夜は短し歩けよ乙女です。

 

独特の世界観と表現力で読書ファンに知られる森見登美彦さん作の、ジャンルとしては恋愛小説とファンタジー小説のブレンドとご紹介出来る、不思議だけれどグイグイ惹き込まれる1冊です。

 

主人公の「僕」目線で展開するストーリーですが、お酒が大好きな後輩の女性が気になり、彼女を追いかけて夜の街へ足を運び続ける中、奇妙な人達やさまざまな出来事に遭遇する・・・実は「これだけ」だったりします。
一昔前を舞台にしているので、今なら「ストーカー行為なのでは」「そういう意中の女性への近づき方はチョット」といった、若い世代からの声が聴こえるシーンも見られるかも知れません。
それでも1人の大人の男性が、気になる女性を常に自分の視野の中に確かめていたい「想い」「願い」は不変だと、あらためて感じさせられました。

 

冒頭でも触れた通り、森見さんがチョイスする単語やその用い方は非常に独特で、読み手からすれば正直、好き嫌いが分かれるかと思います。
「意味わかんない」と首を傾げられる方々の一方、ある意味「そんなふうに表現するんだ」的な情景描写に、ニヤリが止まらぬ方々も大勢いらっしゃるに違いありません。
ちなみに私、大山哲も最初は正直とっつきにくい感が否めませんでしたが、程無くこの世界観の面白さに引き摺り込まれて行くのが分かりました。
「クセになる」とご紹介するのがベストマッチではないでしょうか。

 

ちなみに読み終わった後、こんな事をぼんやり考えてしまいました。
男は誰でも好きな女性をグイグイ引っ張って行く存在でありたいところですし、それは私も一緒です。
対してこの物語での「僕」は、お酒が大好きで日々夜の街に繰り出す年下の女性を追い駆け回す事で、何とか彼女との距離が開かぬように一生懸命です。
まだ幼かった頃の長い夏休み、片思いの女の子の姿を確かめたくて、友達に見つからぬよう、自転車で彼女の家の近くを幾度もグルグル走り回った「あの頃」の私もまた、主人公の「僕」だったのでしょう。

 

夜は短し歩けよ乙女」なる一目瞭然のライトな遊び心のタイトルと、その対極的な森見ワールドのギャップを含め、ぜひどっぷりとこの世界に浸っていただきたい作品です。
特に今片思い中でキッカケを掴み切れぬ男性の方々には、心の栄養剤となる1冊でしょう。


やれ個人情報がどうだの、肖像権がこうだのとの価値観が、時に誤って解釈されて声高に叫ばれる今日ですので、くれぐれも追い回し方にはご注意くださいね。