大山哲と本。

大山哲。本が大好きです。オススメの本や読みやすい本を紹介していきます。

大山哲のこの一冊!きよしこ

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きよしこ:Amazon

 

こんにちは。

大山哲が選ぶ今日の一冊はきよしこです。

 

著者は重松清です。「きよしこ」は、吃音がある少年「きよし」が主人公です。ここでピンと来た方もいるかもしれませんが、大山哲は著者と主人公の名前が同じ事に気づきました。それもそのはず、この本は著者の少年時代を描いているのです。

 

きよしは転校生です。いつも1人なのは、吃音があるので言いたい事がうまく言えなかったからです。吃音はカ行やタ行、濁音がうまく発音できないため、きよしは自己紹介の時に自分の名前を言うのがすごく嫌だったのです。他の言葉にできるところはなんとかやり過ごしていたけど、自分の名前だけは他の言葉を使えずに、黙り込むしかありませんでした。

こうして言いたい事はたくさんあるのに言えない、という悩みを抱え込んでいきます。でも本当は友達がほしかったきよし、そんな時夢の中に出てくる友達を話をする事で紛らわせていました。そんな日々を過ごしていたきよしは、クリスマスの日に「きよしこ」という少年と出会います。

きよしこは、きよしに「ほんとうに伝えたいことだったら伝わるよ、きっと」と言葉を投げかけてくれます。自身が体験した事を通して、同じ悩みを持つ人に伝えたい言葉だったのかもしれません。大山哲は、とても重みがあって深い言葉だと思いました。

 

きよしこは、全部で7つのエピソードが書かれています。全てきよしの事を書いています。きよしこはプロローグで、吃音のきよしでも言いたい事を言える友達の話。

「乗換案内」は、きよしが吃音矯正プログラムで出会う、同じ吃音を持つ加藤君とのおはなしです。「どんぐりころころ」は、転校生のきよしは自己紹介で失敗します。そんな時出会ったアル中のおじさんとの出会いと別れを描いています。「北風ぴゅう太」は、クラスの先生と、小学校卒業前日に行われるお別れ会と、お別れ会で演じる演劇の話です。「ゲルマ」は中学2年に転校した先で初めて出来た親友ゲルマと、その友達ギンショウときよしの友情物語です。「交差点」は、きよしが中3の夏に転校した学校で、出会う友達との物語です。「東京」はきよしが大学入試を控えている時に付き合っていた彼女「ワッチ」とのエピソードを綴っています。

 

どれもとても温かくてちょっぴり切ないストーリーです。でも不思議と読んだ後はほっこりするそんな一冊です。吃音の事を知らない人にも読んで頂きたいと思います。
表紙の目深に帽子をかぶり、少し恥ずかしそうにしている少年がとても印象的です。